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「元気か?」
「はい。お陰様で。」
「それはよかった。」
「サリー先生。いよいよ始まりましたね。」
「なにが?」
「オリンピックですよ。」
「オリンピック?どこの?」
「どこのって、東京ですよ。東京。」
「そんなのやってんだ。」
「やってるって、昨日から始まったんですよ。」
「知らんかった。」
「開会式、見なかったんですか?テレビで?」
「見なかったなああ。」
「なにを見たんですか?」
「警察24時。大ファンなのだ。」
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「オリンピックなああ。」
「あれ、開会式の前から試合始まってんのね。」
「なんだ、知ってるんじゃないですか。」
「知っとるよ。ソフトボールだろう。」
「そうです。日本勝ちましたね。」
「ニュージーランドを相手にコールドだな。」
「幸先いいですよね。」
「それが気に食わんのだ。」
「なんでですか?」
「わからんか。」
「わかりません。」
「相手は外国からわざわざ日本に来てくれた、いわば、客人だ。」
「はああ。」
「しかもこのご時世に。」
「それをだな、コールドとはなんなんだね。」
「考えてみたまえ。」
「遠路はるばるおいでいただいたお客様だ。」
「普通、まずはお疲れ様だろう。」
「和室にお通しする。」
「次に今は夏だ、冷たい麦茶をお出しするな。」
「で、和菓子。」
「お国のご家族はお元気かなどお話する。」
「蚊取り線香欲しいな。」
「風鈴がチリンと鳴って欲しいな。」
「和服の女将は”うちわ”でそっと客人に風を送るな。」
「客人、この辺も随分変わりましたねと言って欲しいな。」
「主人が亡くなって随分になりますから。。。。」
「で、お風呂だ。」
「お風呂で汗を流したところで、夕飯だ。」
「そうさな。まずは鯉の洗い。」
「ビールもいいが、冷酒なんぞもよかろう。」
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「いったいなんのお話なんですか?」
「だからだ、大切なお客様に対してコールドゲームとは失礼だと言っておるのだ。」
「おそろく、選手の中には決して裕福ではない家庭の子もいよう。」
「北国の貧しい農家の娘だ。」
「兄妹が6人。」
「その子は末っ子だ。」
「唯一、運動神経に秀でていた。」
「ある日、遠くジャパンという異国の地で、オリンピックという大会が開かれると聞いた。」
「その子は、私、ぜひ参加したい。」
「と、思った。」
「だが、そんな金は工面できない。」
「娘は夢を諦めかけた。。。」
「だが、天は娘に味方した。」
「娘の才能を聞くに及んだ政府がジャパンに行かなかと言ったのだ。」
「娘は喜んだ。」
「そして出発の日の朝だ。」
「娘の母親が言った。」
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「先生!ニュージーランドです。ニュージーランド!」
「母は、おしんにそっとある物を渡した。。。」
「母の手はあかぎれで痛痛しかった。」
「おしんは。。。。」
「母ちゃん。。。。」
「小さく呟いた。」
「それは、母の手編みの腹巻きだった。」
「先生!ですからニュージランドです!!!」
「おしんは、晴れてジャパンに到着した。」
「そして宿舎での夜だった。」
「おしんは、お腹を壊してはいけないと、母の手編みの腹巻きをした。」
「おしんは、違和感を感じた。」
「腹巻きに、小さなポケットがついていることを見つけた。」
「おしんは不思議に思いながらポケットに指を入れた。。。」
「そこには、小さく折りたたまれた。。。」
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「先生!」
「なんだかわからいけど、涙がでてきました!!!」
「そうであろう。」
「そんな、おしん達にコールドゲームとはまったく礼儀を知らん!」
「お・も・て・な・し精神はどこにいったのだ!!!」
「それから、おしんの父親は俳優の伊東四朗に似ていた。」
「ニュージーランドの伊東四朗と呼ばれている。。。。」
ということで、サリー先生とフィーユのいつものお戯れでございました。。。。
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フィーユは島の中をさ迷っていた。
その時であった。
「お若いの。」
声がした。
「どなたですか?」
「私は。。。」
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「長崎さんですね。」
「違います。」
「青森から来た長崎です。」
「だから長崎さんでしょ?」
「青森から来た長崎です。」
「ですから、青森出身の長崎さんでしょ?」
「違うんです。」
「どう違うんですか!」
「名字が。。。。」
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「青森から来た長崎cocoです!」
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「で、青森から来た長崎cocoさん。」
「なんの用ですか?」
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「このまま、この島でお宝探しを続けるか。」
「あるいは、東京に行って気象予報士になるか。」
「はいそうです。」
「しかし、東京に行って気象予報士になるというお話は、作者の父ちゃんの思いつきだ。」
「父ちゃんは朝の連続テレビなぞ見たことがない。」
「であるから、父ちゃんはできれば、このままフィーユを島に留まらさたいのだ。」
「その通りです。」
「悩むところだな。」
その時であった。
フィーユは先程から誰かに話しかけられている気がしていたのである。
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「おかしいなああ。」
「誰かなにか言っている気がする。。。。」
「きのせいだ。。。。。」
「そうか、きのせいか。。。」
「だから、きのせいだって!!!」
「きのせいだよね。」
「だからーーーーー!」
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「そうだ。私は!」
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「秋田から来た島根の木の精の凪!!!」
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混沌としてきたこのお話。
わけのわからない、名字の謎!
次回で明らかになる!!!
多分。。。。。
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