「これはこれは、フィーユ君。」

「アマビエだね。」

「アマビエですか？」

「そうだよ。」

「アマビエ。」

「なんなんですか？」

「わからんかね？」

「アマビエと言えば？」

「妖怪ですか？」

「そうだよ。」

「妖怪。」

「なんか？」

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「おみごと！」

「先生、こういうのいい加減にやめませんか？」

「いいのだ。意外と読者に好評なのだ。」

「それで先生。今日はいったいなんのアマビエですか？」

「フィーユ君。君も成長したね。私も嬉しい。」

「実はね。。。。。」

「先生。誰か来ましたよ。」

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アニマル出版のリッキーです。
サリー先生、ヒョウになって原稿を受け取りに参りました❣
先生はひとこと「うひょうひょヒョウ」とおっしゃいました……

 

「サリー先生。」

「こういう場合、私はどうしたらいいのだ？」

「なにがです？」

「リッキーままさんに指図されてしまった。。。。」

「いいじゃないですか。読者ですよ。」

「そうだな。数少ない読者だからな。」

「では。」

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「これでいいかな？」

「いいでしょう。」

「で、リッキー君。なにかね。」

「原稿ですよ。原稿。」

「原稿？なんだったけ？」

「忘れた。なんだったけ？」

「私の履歴書です。」

「私の履歴書！」

「あの、日経新聞の！」

「あの、経済界、あるいは著名人が自分の過去を振り返る。」

「だいたい、初めは自分は勉強ができなかった。」

「迷惑ばかりかけていた。」

「でも、父の友人のお金持ちの人の娘と結婚した。」

「け！結局、いいところのぼんぼんだったんじゃねーか！」

「人を憤慨させるやつだろう！」

「サリー先生。落ち着いて。」

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「なんだね。リッキー君。」

「うちのはですね。私の履歴書じゃなくて。」

「じゃなくて？」

「あたいの履歴書です。」

「フィーユ君。」

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「あたいの履歴書ってなに？」

「ご存知ないんですか？」

「ご存知ありません。」

「新しいところでは。」

「あの、直木賞、芥川賞作家の。。。」

「フィーユ君。」

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「また、ひなた先生か？」

「そうです。」

「ひなた先生の、あたちの履歴書です。」

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「あたちの履歴書。」

作家になったのは幼い頃、両親が与えたくれた1冊の絵本だった。

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そして今でもその絵本を読み返している。

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1冊の絵本が私の作家への入り口だったのである。。。。

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「フィーユ君。」

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「サリー先生。」

「どうしたんですか？」

「また、先を越された。」

「また、ひなた先生に。。。。。」

「いいじゃないですか。」

「よくない！」

「あたちも書くぞ！」

「あたちの履歴書！」

「先生。だれか来ましたよ。」

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これって笑顔かな？

「どうしたんですか？」

「フィーユ君。最近、私、人気だね。」

「そうですか。」

「そうだよ。原稿依頼だ。」

「デビュー以来ですね。」

「わたし、いらいだろう。」

「ところで、りょう君。なにを書けばいいのかな？」

「はい。」

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「こんな感じで。」

「ちょっと。」

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「どうしたんでか？」

「なんでまた、ひなた先生なんだ？」

「いけませんか？」

「いけませんよ。」

「駄目ですか？」

「駄目じゃないけど、原稿料ぼったくんなきゃ。」

「先生。」

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どうなの？

ということです。

「あら、君はりょうでは！」

「なんでついて来たんだ。」

「フィーユ君！フィーユ君！」

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「まあ、そういうな。」

「また、誰か来ましたよ。」

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coco なりの出しなさい！です。

だそうです。

「これは、文芸春夏のcocoではありませんか。」

「今日はなんの御用かな？」

「はい。サリー先生。原稿のお願いです。」

「なんの？」

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「フィーユ君。フィーユ君。」

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「なんですか？」

「やったよ。ついにやったよ。」

「私とお芋だよ。」

「お芋に関して、私ほど詳しいものはおらん。」

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「どうかね！」

「いいですね。」

「私とお芋。第二回でお願いします！」

「第二回？」

「はい。第一回は。。。」

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まだ、まだ編集者がいっぱいいます。

だから、つづく！

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