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船乗りフィーユの冒険。第12話。ヤング・ケアラーと歌はいけません!





「久しぶりだね。」

「先生、お元気ですか?」

「うむ、なんとかやっておるよ。」

「ところで、フィーユ君。」

「なんですか?」

「最近、どうも街中に英語がはん濫していると思わんかね?」

「英語ですか?」

「そうだ。新聞やテレビで、やたらと、SDG’Sと言っておるだろう。」

「そういえばそうですね。」

「いったい、SDG’Sとはなんなんだ!わからんではないか!」

「先生、そう興奮しないで。血圧があがります。」

「そうであった。」

「えーとネットの”ワンペディア”で調べました。」

「SDG’Sとは持続可能な開発目標だそうです。」

「持続可能な開発目標って日本語でもよくわからん。」

「えーとですね、2015年に国連サミットで採択された。」

1:貧困をなくそう。

2:飢餓をゼロに。

3:全ての人に健康と福祉を。

4:質の高い教育を。

5:ジェンダー平等を実現。

6:安全な水とトイレを世界に。

「だそうです。」

「なるほど。素晴らしいではないか。」

「そうですね。」

「な、フィーユ君。」

「貧困をなくそうではないか!」

「私も元捨て犬。放浪していて、毎日、毎日、ひもじくてな。」




(サリー先生、放浪の末、捕獲される。さいたま保健所。)

「濡れたダンボールを齧ったこともあった。」

「世の中には、毎日、毎日、十分なくいもんにありつけない犬も、猫もそして他の生き物たちがおるんだ。」

「で、つぎは、飢餓をなくそう。」

「そうだな、そうだな。やはり、犬にも猫にも大切なのは食いもんだ。」

「私なんかね、放浪しておった時にだ、うろうろと、もう空腹で空腹で、人様に近づき、「可愛いわんこだね。」とか言われているすきにくいもんを盗んだもんだよ。」




(さいたま保健所より救出される!)

「もうそれは天才だった。」










「仲間の犬達からは、愛想笑いで強奪のサリーと呼ばれておったよ。」




「サリー先生!」

「なんだね、フィーユ君。」

「この持続可能な開発目標ってわんこやにゃんこのためなんかじゃないんですよ。」

「おんや?違うの?」

「違います。人間のためなんです。」

「えー、そうなの?」

「人間だけなのおおお。」

「世の中には貧困で飢餓のわんこ、にゃんこいるでしょう。」

「人間だけなんてずるいなああ。」

「まあ、そうですよね人間だけじゃなくて、わんこにゃんこもいれてくれればいいのに。」

「しかしだね、こんなことをなんで、持続可能な開発目標などと難しい日本語にするんだろうね。」

「さて、なんででしょう?」

「私は気がついたよ。」

「なにをですか?」

「これは政府の陰謀だよ。」

「陰謀?」

「そうだよ。こんな貧困をなくそうとか、全ての人に健康と福祉をとか、質の高い教育とか、ジェンダー平等とかだね。」

「国民がそうだそうだ。と気がついてしまっては政府が困るからだよ。」

「困るんですか、政府が?」

「そうだよ。この国に貧困はないのか?」

「飢餓、毎日毎日、3食たべることができない人もいるだろう。」

「質の高い教育を子どもたちは受けているかね?」

「な、国民が、あれれ、この国も問題いっぱいだるじゃん。」

「そういえば、この国の6人から7人に一人の子供が貧困だそうだ。」

「2020年絵かい経済フォーラムの発表によると、この国は153カ国のうち、121位だそうですね。」

「よく調べた。フィーユ君!」

「フィーユ君。よく覚えておくがいい。」

「この政府は国民に知られたくないことはやたらと英語にして国民が気が付かないようにしているのだ。」

「そうなんですか。」

「これを、“やばい(Y)もんは(M)ちょっと(C)英語(A)にして誤魔化そう計画”と言うのだ。」

「通称。。。。」







「最近これもよく聞くだろう。」

「ヤングケアラー。」

「聞きますね。」

「家庭の事情により、家族の介護や面倒をみにといけない子どもたちのことだ。」

「まだまだ、遊びたいさかりだ、勉強もしなくてならぬのに家族の世話をしないといかんのだ。」

「そんな子どもたちが多いという事実を国は国民に知られたくないのだ。」

「だから、ヤングケアラーと英語にして誤魔化しておるのだよ。」

「ちょっと姑息ですね。」

「そうなのだ。そんな姑息な手段もいずればれる。」

「政府はヤングケアラーの日本語。国民を誤魔化す日本語を用意しておるのだよ。」

「どんな日本語なんですか?」

「昔、昭和の時代だね、会社勤めをせず実家にいる娘さんをこう呼んだ。」




「しかしだ、政府の秘密を知った国民達がいた。」

「密かにこの秘密を明らかにし国民に現実を知ってもらう計画をたてているのだ。」

「ヤング・ケアラーを救え!」

「なんで選挙の公約にない!!!」

「どうやってですか?」

「歌にするのだ!」




「さあ立ち上がれよ♪」

「ヤングケアラー♪」

「もう悩むことはないんだから♪」







「なにか?」

「歌はいけません。歌は。」

「なんで?」

「飛沫が飛びます。」

「そうか、しかたないなああ。」

「それより、船乗りフィーユの冒険の続きは?」

「そうであった。」

「これだよ。」

船乗りフィーユの冒険。

私は、道案内の「サリぽん」と「やつで署」に捕らわれている船乗りフィーユに会いに行った。

途中、我々の行く手を阻むように大きな川が現れた。




「サリぽん、なにかいい手はないのか?」

「大丈夫です。」

「ロープがあります。」

「このロープをカーボーイのようにぐるぐる回して向こう岸に投げる!」

「それで?」

「向こう岸でロープを大きな木に結くんです。」

「で?」

「で、ロープを伝って向こう岸まで。」

「でもな。誰が向こう岸で木に結くのだね?」

「心配ご無用。あっしが結いて来ますよ。」

「どうやって向こう岸まで行くんだね?」

「ちょっと行ったとこに橋がありますんで。」




というわけで、門番である。

「暇だなああ。」

と、その時であった。







「お前達は誰だ?」







「で、お前たちはどうしてこの橋を渡りたいんだ?」







一方、町では。。。。







「このブアナ。旦那が船乗りフィーユに会いたいそうなんです。」

「なんとかなりませんかね?」

「船乗りフィーユか。」

「やつは、おやつで署にいるな。」

「それは知っているんです。」

「なんとかやつを自由の身にして、旦那と会わすことはできませんか?」




銭形のcoco親分はそう唸って黙っていた。

あまりの沈黙に耐えきれず旦那が言った。

「サリぽん。沈黙が長すぎやしないかい?」

「銭形のcoco親分は滅多に笑わない。考え出すと長い時間かかるんで有名なんです。」

「長考のcoco親分です。」

「でも、きっといい解決策を思いつきますよ。」

「そんなもんなのかい。」

沈黙は続いた。。。。

そして。







実は、銭形のcoco親分は「眠りのcoco」とも呼ばれていたのである。

一方!













一方、町では。。。。




通称「眠りのcoco親分だが、実は寝ていなかったcoco親分。」が尋ねた。

「ブアナ。あなたはなぜ、船乗りフィーユと会いたいんだね?」

旦那は静かに答えた。

「それはですね。。。」

「船乗りフィーユは、私の。。。。。」










ちなみに、リッキーママさんのママさん。

無事退院!

リッキー、おばあちゃんと久しぶりの再会!

リッキーママさん、お母さんを送り届ける。

リッキー帰るよ。

でも、リッキー帰るの拒否!

おばあちゃん大好き!

だそうです!!!

その頃。。。。。







「お前たちはさっきの?」

「違いますよ。」

「違う?じゃあなんなんだ?」

「相棒が歳とったんで、あっしまだ1歳ですが。。。。」




「なに、ヤングケアラーだと!!!」







「サリー先生!歌はいけません!!!!」

思いつき、波乱万丈の「船乗りフィーユの冒険」、以下次号!!!

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