「父ちゃんの入院生活」カテゴリーアーカイブ

父ちゃんの最後の?入院日記。


夜中であった。

私は寝ていた。

ふと人の気配がして目が覚めた。

するとそこには、暗闇の中で白い服を着た何者かが。。。

私は心底驚いた。

幽霊か。。。。

私は全身が固まったまま動くことが出来なかった。

出たのだ。

遂に出たのだ。

「助けてー!」婆さんの亡霊が。。。。

私は心の中で叫んだ。

「婆さん。」

「すまなっかた。」

「勝手に、助けてー!婆さんと呼んで。」

「許してくれ!!!!」

私はしばらくベッドの上で固まっていた。

するとだんだん、暗闇の中で目がなれてきて、そこにいるのが「助けてー!」婆さんではなく、看護師さんだとわかった。

点滴の交換であったのだ。

私は「うかつ」だった。

点滴は毎晩12時だったことを思い出した。

看護師さんは、点滴を交換すると無言で去っていった。

私は起き上がり深いため息をついた。

もう入院して1週間である。

そろそろ入院生活に慣れたと思ったのに本当に「うかつ」だった。

ということで、サリーの父ちゃんの入院生活である。

2度めの入院。

毎日、やることがないので退屈なのである。

かと言えば、そうでもなくて、意外と忙しいのである。

朝6時になると新たな看護師さんが来て、熱をはかる。

血圧をはかる。

はかられてばかり。

時代劇であれば、悪代官が、「はかられた!」なのである。

そして一段落してぼーっとする。

世の中では、人々が仕事にでかかけていたり、朝ごはんの支度をしているのである。

あるいは、犬の散歩。

犬の散歩かあああ。

サリーを散歩に連れていったなああ。

犬を飼うのは初めてなので、散歩、どうしたらいいのかわからなかったなああ。

犬は朝になると自分から飼い主を起こして「飼い主さん。散歩。散歩。」と言うのだろうと思ったが、サリーは飼い主が寝ていると一緒にずーっと寝ていたなああ。

仕方がないので、ずぼらな飼い主であるが、「とにかく散歩に連れていかいと。」と思い起きたくないのに起きてサリーを散歩に連れていったなああ。

しばらくすると、わんこの友達ができたなああ。

サリーは散歩に連れて行くとなぜかベンチに向かって一直線。

とにかく「おやつ」をくれる人を探したなああ。

元捨て犬で放浪していたからなああ。

とにかく食べるものを探していたんだろうなああ。

私はふとサリーの思い出にひたるのである。

ひたりながら、時をチラチラ見るのである。

7時半になるのを待っているのである。

7時半になにがあるのか。

コンビニが開くのである。

病院のコンビニは朝7時半に開くのである。

そして、6時に閉まるのである。

世の中のコンビニは24時間であるが、病院のコンビニは7時半から6時なのである。

セブンイレブンならぬ、セブンハンシックスなのである。

であるから、私はとにかくコンビニが閉まるまでに大量のお菓子を買い込むのである。

以前、買い込むのを忘れてしまい、夜中にひもじい思いをしたのである。

そして7時半になると、いそいそとコンビニに向かい、お菓子を購入し、新聞も購入するのである。

退屈な入院生活で唯一の楽しみなのである。

コンビニ行くと必ず買うのが、ポッキーである。

ポッキー。

ポッキー娘。

11月11日がポッキーの日で、私はポッキーを大量に購入しプレゼントしたのである。

看護師さん仲間で休憩中においしくいただきましたと報告を頂いたのである。

それから私はやたらポッキーを看護師さんにプレゼントしたのである。

すると、看護師さんは皆、喜ぶのである。

それを盆姉に報告すると、「きっとサリーの父ちゃん、ポッキーおじさんと呼ばれていますよ。」

そうなのである。

私は、ポッキーおじさんなのである。

そうして私は毎日、毎日、ポッキーを看護師さんにプレゼントするのである。

主治医の女医さんにも。

とんでもなく大変なことをごく普通に伝える女医さんである。

「うん。大丈夫よ。」

「全然、問題ないわよ。」

「入院ね。」

という女医さんである。

私は勇気を振りしぼって女医さんにポッキーを差し出したのである。

「先生。これあげます。」

すると女医さんは「あら。いいの?」

女医さん笑顔になったことを私は見逃さなっかたのである。

ポッキーの影響力偉大なり。

ということで、第2回の入院生活。

11月12日。

くしくもサリーの月命日に無事退院となったのである。

退院する時に私は大量に購入したポッキーをナースステーションで、「お世話になりました。これつまらないものですが、皆さんで。」

と渡したのである。

すると、ナーステーションにいた看護師さん達が一斉に立ち上がりお礼をしてくれたのである。

私も深々と頭を下げ、「ありがとうございました。」

エレベーターに乗り病院を後にしたのである。

帰りのタクシーで考えたのある。

入院生活で学んだことがあった。

このご時世、看護師さん、先生、大変なんだなああ。

夜中に患者が騒ぐと看護師さん。

駆けつけて世話をするのです。

私の孫の世代なのです。

そうして私は看護師さんたちに感謝したのです。




盆姉から頂いたドライフラワーも持って帰りました。




ということで、父ちゃんの入院は終わったのです。




おしまい。

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