月別アーカイブ: 2018年1月

サリー、悩やめる小説家の渾身の純文学、「捨て犬物語」!

特定非営利活動法人アルマ・犬の里親募集

 

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顔になにかあったので目が覚めた。

冷たい。

私はぶっると身振りして立ち上がった。

「ここはどこだろう?」

しばらく昨夜の記憶を思い出そうとした。

かすかな記憶でお腹が減って歩き回り軒先で疲れ果てて寝てしまったことを思い出した。

昨夜降った雨のせいで私の身体は濡れていた。

放浪する犬に雨は天敵だ。

そういうときは空腹を我慢してとにかく雨をしのぐ場所を確保しないといけない。

昨夜は雨だったが今朝は晴れていた。

昨夜の雨の残りなのか建物の屋上からぽつり、ぽつりと滴が落ちてきて私の寝ていた頭に落ちてきたのだ。

ふと見渡すとここはマンションだ。

マンショションの駐車場に寝ていたのだ。

放浪していて学んだのは、マンションは放浪犬にとって天国の場所とそうでもない場所ということだ。

天国とは、ゴミ出しをする住人が、「あら?どうしたの?わんちゃん。」と言って撫でてくれくこと。

たまにごはんをくれる。

そうでもないのは、「なんだこの犬。どっか行け!保健所呼ぶぞ!」と蹴飛ばされることだ。

管理人さんは大概優しい。

住人さんに隠れてごはんをくれる。

「ここに居ようかな」と思っても管理人さんが「ごめんね。住人からの苦情で。。。」

と言われるのだ。

私は人間の言葉はわからないがその意図とすることは理解できるので、新しい居場所を探すのである。

しかし、腹が減った。

ここ何日も食べていない。

食い物を探してよろよろと歩きだす。

お腹も減ったが喉も渇いた。

幸い昨夜の雨で道路のわだちに雨水が溜まっているので、ごくごく飲む。

少し楽になった。

楽になったが、どうも足がおぼつかない。

しばらくなにも食べていないのでどうしようもない。

歩いていて「あ!食べ物!」

と思って駆け寄って、くんくんするが、いい匂いはしない。

恐らく食べられるものではないであろう。

しかし、もう何日も食べていなくてこのままでは死んでしまうかもしれない。

なんとか生きなくてはならない。

仕方なく雨でぐしょぐしょになった段ボールを見つけて囓った。

美味しくもなんともないが空腹ではどうしようもない。

なんとなしに満足して、ふと思った。

私が小さい頃、飼い主さんは、「可愛い。可愛い」してくれて、「長生きしてね」と言ってくれたのである。

あれはどういう意味だったのだろう?

私は食べる物を探してさらにふらふらしながら歩いた。

私は歩きながら考えた。

なぜ飼い主さんは私を捨てたのか。

飼い主さん、私を嫌いだったのか。

自分では飼い主さんが大好きだったのだ。

可愛い可愛いしてもらえた。

ごはんももらえた。

おやつももらえた。

でも今は捨てられ、ごはんを探してよろよろ歩いている。

飼い主さんは、「可愛い。可愛い。」してくれたが。

本当の「可愛い、可愛い。」はもらえなかったのかもしれない。

元々の飼い主さんにも色々な事情があったのかもしれない。

あったとしても私は捨てられたのだ。

突然、今まで飼い主さんに、100パーセントの愛情と、100パーセントの信頼を寄せていたのに、突然、いらないと言われてしまったのだ。

飼い主がいないと生きていけない。

生存することが出来ないのだ。

なんと不条理な世の中なのであろう。

しかし、そんなことを嘆いていても始まらないのだ。

捨てられた犬、猫。

みんな生きる権利があるのだ。

生きる理由があるのだ。

もう何日も食べていない私。

もうこのまま死ぬのか。

覚悟した私の地べたの目の前に人間の足が見えたのである。

私はそっと見上げたのである。

今まで見たことがない、とんでもなく「おまぬけ」な顔をした男が立っていたのである。

「あらら、どうした?」

「よろよろして。野良犬か。あれ首輪がついているということは飼い犬か。」

「しかし、毛がぼーぼーじゃないか。」

「ロッドスチュアートみたいだな。」

その男は弱っている私に罵詈雑言を浴びせるのである。

「うんじゃあな。」

と立ち去ろうとした男。

ふと立ち止まり、振り向いて、腰を屈め、そっと私に呟くのである。

「わんちゃんよ。金儲けしない?」

私はこの男がなにを言っているのか分からなかった。

「おいでよ。悪いようにはしないからよ。」

世の中で、「悪いようにはしない。」とか「あなたのためを思って。」という言葉くらい信じてはいけない言葉は存在しないのである。

思わず逃げようとしたが、男は無理矢理、私を捕まえ歩き出したのである。

そして、



















今の私がいるのである。

しかも、男は更に金儲けを企んでいるいるようなのである。

伝説の、まぼろしの犬だけの大国、マルコ・ポーロもその幻のわんこの王国を探して長い航海にでたという、犬の桃源郷。。。

「さりぽん王国」

「さりぽん王国」が3千年の謎をついに明かした!

と、テレビ局や新聞社に上野美術館で大々的なイベントを開催しようと売り込んでいるのである。

そのイベントの目玉は、「さりぽん王国」の新しい国王、



















のお披露目なのだそうだ。

私は、このとんでもない男に拾われ、毎日ご飯も頂くことができて感謝しているのだが、私をくだらないことに利用することが納得できないのである。




















「どうですか!力作でしょう!」

「途中までは良かったのに、なんでさりぽん王国になるんですか。。。」

「あれ?だめ?」

「だめでしょう!当たり前です。」

「うーん。とんでもない飼い主のせいで、こうなってしまうのか。。。。」




















おしまい。

 

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